エルメMCPを5か月使ってわかった、AIに任せていいこと・任せないこと

読みもの / L Message(エルメ)
三原 努 / Smart LINE
「エルメをAIにつなげると聞いたけれど、どこまで任せていいのか分からない」
「つないだ途端に、友だち全員へ勝手に配信されたりしないだろうか」
「お客さんの情報を、AIに渡してしまって大丈夫なのか」
どれも、つなぐ前に確かめておきたいことです。
実際、AIに任せられることと任せられないことは、はっきり分かれています。2026年の6月と8月の拡充でAIが書き換えられる範囲が広がり、線引きを知らずに使ったときの事故の幅も広がりました。
僕はL Messageの認定代理店として、4月の公開直後から自社とお客さんの複数のアカウントでエルメMCPを使い、いまでは設定の多くをAIに話しかけてやっています。ただ、全部ではありません。
この記事では、AIに任せている作業、いまも画面で作る5つ、AIの答えを信じかけてヒヤッとした3つのことを書きます。つなぐ前に、どこまで任せるかを自分で決められるようになります。
先に結論を言うと、読むことと作ることは任せていい。ただし、フォームなど5つは画面で作り、送信ボタンと数字の確認は人が持つ。これが、いまの僕の線引きです。
エルメMCPは、4月の公開から2回の拡充で「作れる」ようになった
エルメMCPは、エルメの中身をClaudeやChatGPTから扱えるようにする仕組みです。2026年4月に公開されました。
公開の翌日にエルメの交流会があり、途中から参加すると、話題はほとんどMCPのことでした。僕はその前に3〜4時間ほど触っていました。一番に思ったのは、自分が管理しているお客さんのアカウントを、まとめて見てアドバイスできる、ということです。
ただ、最初のエルメMCPは、AIがエルメの中身を読むための機能でした。友だちの数や配信の結果を読んで分析することはできても、何かを作ることはできませんでした。
最初の拡充は、2026年6月です。AIから配信メッセージの下書きを作れるようになりました。
2回目が、2026年8月6日です。テンプレート、タグ、友だち情報、あいさつメッセージ、ステップ配信などを、AIの側から設定できるようになりました。僕の手元で数え直すと、Claudeから使える操作は105本になっていて、7月に手順書に書いた数から41本増えていました。ステップ配信は、読むだけの状態から、ゼロから作れる状態に変わっています。
「設定の多くをAIに話しかけてやっている」と言えるようになったのは、8月からです。
エルメMCPのつなぎ方は、URLを入れてログインするだけ
MCP(Model Context Protocol)は、AIが外のサービスのデータを読んだり、操作したりするための共通のつなぎ方です。難しそうな名前ですが、つなぐ作業は数分で終わります。
Claudeなら、設定のコネクタの画面で「カスタムコネクタ」を追加し、エルメが公開しているURLを入れます。表示されたエルメのログイン画面でログインすれば、つながります。ChatGPTには、エルメの公式アプリも用意されています。Claudeの公式の連携は、2026年9月時点では審査中と公式マニュアルに書かれています。
URLでつないだときに気をつけたいのが、エルメMCPがアップデートされても、自動では新しくならないことです。新しい機能が出たら、一度接続を切って、つなぎ直します。
僕の手元の手順書も、8月の拡充のあとしばらくは古い数字のままでした。数え直して初めて、41本増えていることに気づいています。
もう1つ、つなぐ前に見ておきたいのが、データの学習の設定です。公式マニュアルによると、MCPという仕組み自体がデータを学習することはありません。ただ、会話の中身がAIの学習に使われるかどうかは、使うAIの設定しだいです。Claudeの個人向けのプランは、初期設定では学習に使う設定になっていて、プライバシーの設定からオフにできます。お客さんのデータを扱うなら、つなぐ前にここを確認してください。
エルメMCPに任せているのは、読むことと作ること
僕がClaudeに任せているのは、読むことと、作ること・直すことの2つです。
エルメMCPで、AIに任せることと画面でやること
- 01
読む
友だち・配信の結果・フォームの回答
AIに任せる - 02
作る・直す
ステップ配信・タグ・テンプレート・一斉配信の下書き
AIに任せる - 03
画面で作る
フォーム・リッチメニュー・自動応答・予約・商品
管理画面で人が作る
一斉配信はAIで作っても下書き。送信ボタンと数字の確認は、人が持つ。
「このステップ配信の3通目、文面を直して」と打つと、Claudeがエルメの中身を読んで、直した案を出してくる。タグもテンプレートも、画面を開かずに作れます。
1つ目は、読むことです。エルメMCPは、友だちの情報、タグ、配信の結果、ステップ配信の進み具合、フォームの回答、自動応答の履歴、商品の注文、予約まで、ほとんどを読めます。
「先月の配信で、リンクのクリックが一番少なかったのはどれ?」と聞けば、画面をいくつも開いて数えなくても答えが返ってきます。
僕はお客さんのエルメにも副管理者として入らせてもらっています。自分のClaudeにエルメMCPを1本つなぐだけで、管理しているアカウントをまとめて見られます。お客さんの配信の中身や数字を見てアドバイスするのに、画面を1つずつ開いて回る必要がなくなりました。
2つ目は、作ることと直すことです。ステップ配信、テンプレート、タグ、友だち情報の項目、あいさつメッセージ、一斉配信の下書き。このあたりは、話しかけるだけで作れます。
一斉配信は、AIで作っても『下書き』として保存されます。実際に送るのは、管理画面から人が押す。公式マニュアルにも、そう書かれています。
送信ボタンだけは、人の指で押す。
僕も、送信だけは人が押すほうがいいと思っています。
エルメMCPでは作れない5つは、いまも画面で作っている
回答フォーム、リッチメニュー、自動応答、予約、商品の5つは、AIからは作れません。
設定や履歴を読むことはできても、作ったり変えたりする操作が用意されていないからです。作るときは、エルメの管理画面を開きます。
ややこしいのが、エルメMCPに「フォームのテンプレートを作る」という名前の操作があることです。名前だけ見るとフォームが作れそうですが、作れるのはボタン付きのカード型のメッセージで、申し込みやアンケートに使う回答フォームではありません。名前で判断すると、ここで間違えます。
もう1つ、意外と困るのが、友だちにタグを付ける操作が無いことです。タグそのものは作れるのに、それを誰かに付ける操作は用意されていません。
講座のお客さんのアカウントで、3つのタグを合わせて93人に付けたときは、エルメのCSVのインポートを使いました。付けたいタグの列だけを書き出し、対象の人に1を入れて、読み込ませます。
いきなり全員に流すのは怖かったので、最初は1人分だけのファイルで試しました。試した人の既存のタグが消えていないのを確かめてから、本番を流しています。
使ってヒヤッとしたのは、AIの答えをそのまま信じたとき
エルメMCPで怖いのは、AIが出した答えを確かめずに進むことです。僕が実際にヒヤッとしたことを、3つ書きます。
1つ目は、アカウントの取り違えです。僕のClaudeからは、管理している複数のアカウントが一度に見えます。指示するときにアカウントを取り違えると、まったく関係のないリストに配信の下書きができてしまいます。僕が見ている中には、友だちが4,000人を超えるアカウントもあります。
だから、Claudeに何かを作らせたり直させたりする前には、必ず「どのアカウントに」「誰を対象に」「どんな本文で」を画面に出させて、自分の目で見てから実行させています。読むだけなら壊れませんが、書く操作は、1回の指示で取り返しのつかないことが起きます。
2つ目は、数字です。これは本当に危なかった。
講座のお客さんのアカウントで、12人がエルメに友だち登録しているかを確かめたことがあります。12人の名前を並べて、一度に検索しました。返ってきた答えは、0件でした。
「全員いないのか」と判断しかけたのですが、念のため1人ずつ検索し直すと、5人いました。1人ずつならヒットする人も、名前を並べると、まとめて0件になっていたんです。
条件で友だちを絞り込む操作でも、似たことがありました。条件がうまく効かなかったとき、エラーを出さずに、全員を返してきたんです。返ってきた人数を「条件に合う人数」だと思い込んでタグを付けに進むと、全員にタグが付いてしまいます。
AIが出した「0件」を、そのまま信じない。
それ以来、確実にいるはずの名前で一度試してから、本題の検索をするようにしています。返ってきた人数が全体の人数と同じなら、条件が効いていないと疑います。
3つ目は、マニュアルと実物のずれです。8月の拡充のあと、エルメの公式マニュアルには、しばらく「読み取り専用」と書かれたままでした。実際には、もう書き込みができるようになっていたのに、です。マニュアルを読んで「できない」と思ったことが、実はもうできる。その逆もあります。
確認するなら、最初から画面で作ったほうが早いのでは。そう思うかもしれません。
でも、確認するのは最後の1回だけです。配信の数字を集めたり、ステップ配信の文面を何通も直したりする作業は、AIのほうがずっと速い。人は最後に画面で中身を見て、OKを出すだけで済みます。任せる作業と見る作業を分けておけば、速さと安全は両立します。
なお、2026年9月30日には、エルメに「API連携」と「Webhook転送」という機能が入る予定です。こちらは、顧客管理や予約のシステムとエルメをつなぐための仕組みです。AIに話しかけて操作するMCPとは別物です。
エルメMCPで楽になるのは、エルメを分かっている人
エルメMCPで作業が速くなるのは、AIが出してきた答えのおかしさに気づける人です。
エルメの交流会で、別の参加者から「公式が配っている接続は、誰でも何でもできるように権限が広く作られている。便利だけど、書き換えまでできてしまうから怖い」という話を聞いたことがあります。エルメMCPも、同じ構造です。読むだけでなく、書き換えもできます。
フォームとリッチメニューを画面で作っているのは、AIにできないからです。でも、AIにできることを全部AIに任せているわけでもありません。送信ボタンは人が押す。0件は疑う。アカウントは毎回確かめる。
AIにつなげば、エルメのことは全部やってくれる。そう期待してつなぐと、たぶん事故が起きます。エルメの仕組みが分かっていて、AIが出してきた答えのおかしさに気づける人が使うと、作業は本当に速くなる。
5か月使ってきて一番感じているのは、そこです。
自分のエルメにもAIをつないでみたいけれど、どこまで任せていいのか分からない。そんなときは、Smart LINEに相談してください。いまのエルメの使い方を聞かせてもらえれば、AIに任せるところと、人の手に残すところを一緒に決めます。
参考資料
確認日:2026年9月26日。機能や利用条件は変更されるため、設定・契約の前に公式の案内もご確認ください。
L Message公式note|MCP接続機能を強化し、AIから設定操作できる機能を拡充
@Press|lmessageのMCPでAIから配信メッセージの作成が可能に
Smart LINE.
